ウェディング ファッションを考えてみては…

■■□結婚式を挙げる人にも、祝福する人にも楽しい

   ウェディング・フォーマル・ファッションを考えてみては・・・

                                  > > > フリーライター 日戸 守 < < <

変化の時を迎えたソシアルオケージョンで「ニット」を考える

 いまさらですが、一般に、コーディネートをする場合にまず考える事は、対象となる人がどのような場面で着こなすのかによって、コーディネートにも変化が生じます。

 例えばスーツを例にとると、スーツを必要とするのは仕事や結婚式など改まった場合。オフタイムなどでもスーツを着用しますが、その場所や状況により着こなしも変わってきます。そのような場所や状況のことをオケージョンと云います。オケージョンは大まかに次の三つに分けられます。

 一つ目は、「ソシアルオケージョン」。社交的であるという意味で、卒業式、結婚式、葬式と云った冠婚葬祭など制約の多い場面の場合です。

 二つ目は「プライベートオケージョン」で、個人的なという意味。拘束や制約などから解放された自由な時間で、スポーツ、レジャー、家でのくつろぎの場面です。

 三つ目は「オフィシャルオケージョン」。公的なという意味で、仕事をする上で欠かせない「仕事着」、例えば銀行員などは上下ビシッと決めたスーツ姿。学校では指定の学生服と云ったように、拘束・制約を受けている場面です。

あまりに没個性の結婚式に臨む装い・・

 ここでは一つ目の「ソシアルオケージョン」でのウエア、特に「晴れやかな日」の演出手法のうち、結婚式に招待される側のウエアを考えてみましょう。

 結婚式や披露宴における「祝福される側の衣装」と云えば、大半が文金高島田か、ウェディングドレスが一般的。しかし現在の世の中では一風変わった結婚式を挙げてみたいとの願望を持つカップルも少なくないようで、「船上結婚式」とか「水中結婚式(スキューバダイビング)」、「空中結婚式(気球)」なども増えていますし、思いっきり趣向を凝らしたマニアックな、「コスプレ・ウェディング」形式も、時たま目にする昨今だけに、花嫁、花婿の服種も随分とバラエティーに富んで来ている昨今です。

 さてその〝幸せ一杯の二人〟の装いを、もう少々詳しく分析して見ますと、神前挙式の場合、新郎は紋付き羽織袴、新婦は白無垢打ち掛けに綿帽子、あるいは色打ち掛けに角隠しであることが多いのです。

 片やキリスト教式の場合、新郎はモーニングコートかタキシード、新婦は純白のウェディングドレスを着ます。これに続く結婚披露宴では、お色直しと称して新郎・新婦が中座し、和装から洋装への早替わり。あるいは純白のウェディングドレスから一段と華やかなカクテルドレスへの着替えを行い、新郎・新婦同士が満ち足りた気分を味わうと同時に、参列者たちの目も楽しませてくれる、結構な趣向が繰り広げられます。

招かれる人の装いは

 ここで考えてみてください。招かれる人の装いは、多くの場合、招待状にいくら「平服でお越しください」と書いてあるからと云って、まさかラフなジーンズ姿を含むカジュアルっぽい普段着で臨む人はまず居ません。殆どがフォーマルかセミフォーマルスーツ、ないしはダークのスーツと云ったところ。女性は振り袖や留袖などの和服か黒やシックな色が基調のスーツやドレス(中には貸し衣装もあるでしょうが・・)――。

 これが慣例となっています。それはそれで礼に適っていて悪くは無いのですが、でも、果たしてそればかりではあまりに画一的に過ぎる・・との感が拭えません。結婚式の招待者の大半が同じようなスーツ姿、ドレスや着物姿では誰が誰やら分からないし個性が無いのです。

 結婚式にいろんな形があるように招待客の服装も、もう少々形を変え、失礼にならない範囲の〝個性〟や〝遊び心〟のあるファッションで祝意を表しても良いのではと思います。

新たな視点で祝福する時代?

 厳かな結婚式が粛々と執り行われたあとの披露宴の席では、楽しく華やかな時間の経過とおごそ共に余興となり緊張感も解けてくるのですから、ここでサラリとスーツを脱いでの招待客側の「お色直し?」――。

 裸にネクタイを首や頭に巻いて踊る姿が場を盛り上げる光景も時折、目にしますが、余興としてそこまで崩れるのなら一層のこと招待客は堅苦しいドレスやスーツより、男性はセーターに蝶ネクタイなどのユニークなフォーマル的ニット・ファッションでの出席を考えてみたらどうかと思うのです。

 女性の場合はシックな色使いのフォーマル・ニットとしては既にありますが、このオケージョンには、華やかな色とりどりのフォーマル・ニットがふさわしいのではないでしょうか。もちろん花嫁より目立たない程度のファッションを考えなければなりませんが・・。

ニット・ファッションが大きな役割を

 結婚式と披露宴を出席者側の別の視点で捉えれば、「婚活の場」でもあります。男女とも個性を出せ、自己PRの出来る場と考えて、招待客はまずニットウエアやそのバリエーションを着ていても場違いではないと云う、意識改革をしても良い時代なのではないでしょうか。このような試みの先陣を切るのにふさわしいのが、案外、ニット業界なのかもしれません。これからの結婚式は、かなりの確率と可能性とで、ニット・ファッションが大きな役割を果たす事でしょう。結婚式は「おめでとう」を心から伝えられる場ですが、その意味からもニット・ファッションは、一役も二役も買う立場にあると思います。

〝結婚式という課題意識〟に焦点を

 こうした今までと違う角度から〝結婚式という課題意識〟に焦点を当てたモノの見方と行動力を発揮し得るきっかけや、いくつもの切り口を秘めているのがニット業界なのではないでしょうか。このように変化の時を迎えたソシアルオケージョンは「ニット」で考えてみても・・・。

【Web版再掲】初出:ニット・ファイル通 Vol.16 ,2015.7